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よろず相談請負【弐】

よろず相談請負【弐】

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ぱたぱたという軽い足音と共に珍しくもお嬢さんが駆けてきたのを、丁度奥から店へと戻ろうとしていた佐助は見咎め、慌ててお嬢さんを止めた。

「お嬢さん、走ってはお身体に障りますよ、いけません!」

言葉だけでなくしっかりとそのまま、佐助を避けて逃げようとするお嬢さんを軽々と抱え上げる。

「~」

毎度のことながらお嬢さんは非常に悔しそうに唸ったが、すぐに大人しくなった。

佐助の腕から逃れられはしない事は、子供の頃から良く知っているのだ。

「一体どうなさったんですか?何かありましたか?」

「別に」

肩に担いだままでいてはその内お嬢さんが癇癪を起こすと佐助も分かっていたので、そっと(逃さないよう気を付けながらだが)お嬢さんの身体を降ろし、まっすぐお嬢さんの目を覗き込みながら尋ねたが、お嬢さんは軽く肩を竦めただけだった。

しかしすぐに佐助の心配そうな不安気な表情に気付いたのだろう、取りなすような柔らかい笑みを浮かべて言い直す。

「本当だよ。……ただ……今ね、離れで仁吉と屏風覗きが喧嘩してて……ちょっと嫌だったから出てきただけ」

「そうでしたか」

いつまでも困った連中ですねぇと大人らしく相槌を打つ佐助に、いちも又重々しく頷いてからじっと佐助を見つめてくる。

「どうかなさいましたか?」

「ん。……佐助、今、時間あるかい?」

「ええ、勿論」

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こちらのサイト新装オープンより一週間経過しました。 オープン後もこそこそと手直しやら機能追加してましたが、そろそろきちんと形になってきたような気がします。 パーフェクト状態になってからオープンにしろ、という感じですが。 うーん、きりが良い期日をオープン日にしたかったんですよね。 本当は10月1日が良かったんだけど、ちょっとその時期は忙しくなりそうだったので(って今もそこそこ忙しくはあるんですが)、早めてしまいました。 そしてこのメッセージも他サイトと共通だったりします。(スイマセン、ずぼらで) まだまだ不具合はありそうですし、寧ろこう!とかコレないの?!とか、あるんじゃないかなーと思います。 そうした際のご意見はこちらのトピックに頂けると助かります。 よろしくお願いします♪
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